今日のテーマは「過去問を解く際の時間配分」です。
特に日商簿記1級試験にフォーカスして書こうと思います。また、同じ科目構成である全経簿記上級試験にも役立つ部分があると思います。
あくまで個人的に実践したことなので、これをすべて鵜呑みにせずに、ご自身で有益だと思うことを取捨選択してください。
ネットには役立つ情報とそうではない情報があふれているので、情報をピックアップする力もつけていってください。問題文から必要な情報をピックアップする力の向上にもつながります。是非いろんな視点から今回の記事を読んでみてください。
各科目の時間配分
まず、日商簿記1級の問題構成と試験当日の流れです。
商業簿記と会計学の間に休憩時間はありません。
15分程度の休憩があります。
工業簿記と原価計算の間に休憩時間はありません。
商業簿記・会計学で90分、そのあと15分程度の休憩をはさみ、工業簿記・原価計算で90分という流れになります。商業簿記と会計学の間、工業簿記と原価計算の間には休憩時間はありません。注意してくださいね。
それを踏まえると、少なくとも90分の時間は集中力を途切れさせないことが大事です。しかも難関の試験ですから、相当疲れます。集中力があまり続かないという方は、普段の勉強のときから集中力を維持していくことを心がけましょう。
ではもう少し具体的な過去問の取り組み方をみていきます。
商業簿記について
早速ですが、時間配分をシミュレーションしてみましょう。
商業簿記と会計学で90分です。皆さんなら、どんな時間配分にしますか?商業簿記に45分、会計学に45分にしますか?
過去問演習を始めると、商業簿記は会計学と比べると、解くのに時間がかなりかかることがわかってきます。各回の商業簿記と会計学の難易度によっても変わってきますが、大抵のケースでは会計学のほうがボリュームは少ないと思います。
まず、試験が始まったら商業簿記と会計学を合わせた全体を俯瞰(ふかん)すること。すぐに問題に取り掛からないこと。回答に至る戦略を考えることが大事です。最初に商業簿記の難易度やボリュームを見極めてください。
この段階ではまだ商業簿記にどのくらいの時間を割くのか決められません。次に会計学の問題を見てみます。
会計学について
最近は第1問の理論問題が単純に用語穴埋めではなく、計算を含むこともあるので注意が必要ですが、商業簿記と会計学の全体からみて、第1問は取り掛かりやすい箇所だと思います。わたしは商業簿記と会計学の中では、一番最初にここから解くことが多かったです。
また第2問以降、かなりの難問が出ることがあるのも会計学の特徴です。会計学から解き始めたとしても、その問題は熟考する問題であるか、時間を割く問題であるか、また正解したとして配点がくるかどうかの見極めが大事です。
日商簿記1級には傾斜配点というものがあります。要は基本的な問題にはたくさん配点され、難しい問題にはあまり配点されないことが起こります。時間を割いて、一生懸命に回答を埋めて正解したとしても、そこにはあまり配点されずに得点が伸びないことがあります。
過去問を解くときは、どんな問題を後回しにするべきか、また「捨て問」なのか、常に意識して解きましょう。
会計学の問題を最後までざっと確認して、ここで初めて時間配分を考えます。例えば、会計学のボリュームが少なく、商業簿記のボリュームが多いケースでは、わたしは精神安定上、会計学を早めに終わらせて商業簿記に移動します。
ここで会計学を解く時間を仮に30分と設定します。となると、商業簿記にかけられる時間は最大60分です。しかし、最後の全体的な見直しで5分程度は欲しいところです。というわけで、商業簿記は55分と設定します。
しかし、会計学を解いてみると、30分で終わらないことがわかってきました。焦りますよね。ここで、引き続き、会計学を粘って解いていくか、商業簿記に切り替えるかが悩ましいところですが、一旦決めたなら、時間がきたら商業簿記に思い切って移るのがベストだと思います。(少なくともわたしはそうでした。)
そして商業簿記を解いたあとで、また会計学に移ればいいのです。解ききれなかった会計学に未練が残るかもしれませんが、そこは割り切って進みましょう。合格するための戦略です。
工業簿記、原価計算について
基本的には商業簿記・会計学のときと同じですが、工業簿記と原価計算も最初はすべての問題に目を通して、難易度やボリュームを俯瞰します。
ただし、工業簿記と原価計算の場合は、商業簿記と会計学の場合と比較して、科目間のボリュームの差は大きくないように思います。
それでも、わたしは原価計算から解き始めたほうがよいケースが多々ありました。工業簿記が苦手だったということもありますが、解けそうな問題はできるだけ早めに解いておくことで、その後の問題を落ち着いて解くことができました。
仮に工業簿記40分、原価計算40分と設定しておいて、当日の難易度とボリュームでバランスを考えてもよいと思います。
工業簿記や原価計算で注意しなければいけないのは、最初の問題を解くときです。時間配分を決めたら、問題に取り掛かると思いますが、最初の問題の回答が、そのあとの問題に影響するケースが多いのが工業簿記と原価計算の特徴です。
ですから、工業簿記でも原価計算でも、特に最初の問に時間を掛けましょう。そこで間違えたら、芋づる式に全滅する可能性もあるので、慎重に、丁寧に解きましょう。
終盤まで解けなくても、そこまでの問題に正答していれば傾斜配点で大量得点できるかもしれません。
さいごに
今回は「時間配分」について書きました。
時間配分の感覚をつかむには、これも数多くのシミュレーションが必要です。ただ、まとめて90分という時間が取れない、という方もいると思います。その場合は、会計学だけとか、理論だけとか、細かく分解して時間を設定して解くのもオススメですよ。理論だけなら、昼休みの5分、10分だけでも勉強できます。
理解が進んできたら、時間という負荷を徐々にかけていく。適度なプレッシャー・ストレスはベストパフォーマンスを生みます。是非、時間負荷も実践してみてくださいね。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ひろりん
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