財務分析3回目です。
今日はポテトチップスでお馴染みの「湖池屋」の有価証券報告書をもとに企業・財務分析してみたいと思います。
少し違った観点からも分析していくので、良ければ最後まで読んでみてくださいね。
投資の判断などは自己責任でお願い致します。
(株)湖池屋の財務分析
今日はまず下記の動画を見てください。
貸借対照表と損益計算書
それでは、いつものように貸借対照表(以下、B/S)と損益計算書(以下、P/L)を見てみましょう。
総資産は約230億円、売上高は約320億円です。総資産回転率は約1.4倍です。
一見すると、効率良い経営と思いますが、売上高営業利益率は約1%とかなり低くなっています。
安全性の指標である「流動比率」「固定比率」については問題なしと思います。
「自己資本比率」についても2018年6月期は約52%と問題がある数値ではありません。
ただ、やはり売上高営業利益率が約1%で赤字すれすれ。
これで大丈夫なの?現金はどうなの?と気になる方もいるかもしれませんね。私も気になりました。
詳しくは後述の「キャッシュ・フロー計算書」の項目で説明しますね。
棚卸資産
棚卸資産とは「商品及び製品」「仕掛品」「原材料及び貯蔵品」のことです。
では先に見た動画の中で「商品及び製品」「仕掛品」「原材料及び貯蔵品」それぞれ見分けがつきますか?
わかりやすい動画を選んだつもりなので、すぐにわかると思います(笑)
順序が違いますが、わかりやすいように並び替えます。
もちろんジャガイモ以外にも材料はたくさんあると思います。
最後にポテトチップスを詰める「袋」や「箱」も材料に分類されると思います。
企業により売上を計上するタイミングなどに違いがあるため異なる部分もあるかと思いますが、財務分析する上では上記のように大雑把に区分しておけばよいと思います。
以下、有価証券報告書から数値を引用します。
わかりやすいようにB/Sの各科目の並びを入れ替えます。
(単位:百万円) | 2017年6月期 | 2018年6月期 | 増減率 |
原材料及び貯蔵品 | 358 | 887 | +147% |
仕掛品 | 10 | 6 | △44% |
商品及び製品 | 529 | 547 | +3% |
棚卸資産 合計 | 898 | 1,440 | +60% |
全体としての棚卸資産は増えているものの、仕掛品はほとんどない状態です。
前回、分析した「森永製菓」と「井村屋グループ」では棚卸資産の中の仕掛品の占める割合が5~10%前後なのに対して、特に2018年6月期の湖池屋のそれは1%にも満たない割合です。
次にキャッシュ・コンバージョン・サイクル(以下、CCC)を見てみましょう。
棚卸資産回転期間:27日
売上債権回転期間:69日
仕入債務回転期間:80日
となり、CCCは16日となります。
これも「森永製菓」や「井村屋グループ」の約1ヵ月のCCCと比較して、短い期間になっています。要因は図で一目瞭然ですが、棚卸資産回転期間の短さが貢献していると思います。
さらに棚卸資産の中の何が要因かと突き詰めていくと、先ほど述べたように「仕掛品」の少なさが貢献していることがわかりますよね。
以下のPOINTは余談です。
簿記を勉強されている方はテキストの知識とつながる部分があると思うので是非一読してみてくださいね。
その明細書から一部を引用してみます。
(2018年6月期) | (単位:百万円) |
1.材料費 | 11,720 |
2.労務費 | 2,290 |
3.経費 | 3,930 |
当期総製造費用 | 17,940 |
期首仕掛品棚卸高 | 10 |
合計 | 17,950 |
期末仕掛品棚卸高 | 6 |
当期製品製造原価 | 17,944 |
この製造原価明細書は工業簿記でよく扱う「仕掛品」ボックスのことです。
下記の図を見てみてください。
製造原価明細書は、まさに仕掛品ボックスの中を計算していることになりますよね。
キャッシュ・フロー計算書
まずはウォーターフォールチャートです。
先ほど、売上高営業利益率が約1%で現金は大丈夫なの?と書きました。
結論から言えば、現金は潤沢にあると思います。
やはりP/Lだけ見るのではなくて、B/Sやキャッシュ・フロー計算書も合わせて見ることが重要なことがわかると思います。
そうしなければ企業の本当の姿を見ることはできません。
2018年6月期については投資も抑えてますね。
その要因は「ポテトショック」にあるのではないでしょうか。
ポテトショックとは台風被害による北海道産ジャガイモの不足です。
ここは投資よりも営業活動で生み出したキャッシュを貯め込む判断をしたのかもしれませんね。
ポテトショックから復活し、感謝祭として容量を増量しました。
まとめ
これを書いていて、ちょっと残念なお知らせが。。
要は「値上げ」ですね。
しかし、利益率などを見れば「値上げ」もやむなしと私は思います。
皆さんはいかがでしょうか?
今回は簿記の要素も入れてみましたが、まだまだ試行錯誤で記事を書いています。
今後もたくさん勉強しながら、記事をブラッシュアップしていきたいと思います。
他の財務分析の記事はこちらからどうぞ!
ひろりん
コメント