会計人コースWebに記事を寄稿しました!

【財務分析】小松製作所(コマツ)【建機業界・IoT】

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今回は「小松製作所(コマツ)」の財務分析・企業分析をしたいと思います。

小松製作所(以下、コマツ)は建設機械業界・国内1位の企業です。(ちなみに世界1位は米国キャタピラー社です)

コマツはKOMTRAX(コムトラックス)という独自システムを運用し、いち早くIoT(Internet of Things)を推進したことでも知られています。IoTとは「モノのインターネット」と言われています。今回はそのIoTの仕組みについても、ざっくりですが説明していこうと思います。

なお、コマツの2019年3月期の決算短信および決算説明会資料を基に記事を書いています。

記事の内容に基づいて投資などをして損失が出た場合でも当方では一切責任を負いません。
投資の判断などは自己責任でお願い致します。
目次

貸借対照表と損益計算書

貸借対照表(以下、B/S)と損益計算書(以下、P/L)の比例縮尺財務諸表から見ていきましょう。
なお、コマツが採用しているのは「米国会計基準」ですが、わかりやすいように表記などを「日本基準」で作成しています。

売上高は約2兆7,000億円、総資産は約3兆6,000億円、総資産回転率は約0.76倍です。

総資産回転率が低いように感じますが、その理由はこのあとの「セグメント情報」で明らかになります。
ちなみに国内2位・日立建機の売上高は約1兆円、総資産は約1兆2,000億円、総資産回転率は0.87倍です。(2019年3月期)

キャッシュ・フロー計算書

次はキャッシュ・フロー計算書です。

営業活動で稼いだキャッシュとほぼ同額の投資活動を行っていることがわかります。

投資活動の内訳を見ていくと、固定資産の購入に約1,920億円を支出しています。

前期の2018年3月期にも固定資産の購入に約1,550億円を支出しており、多額の借入をしてキャッシュを増やし、さらに株式の取得に約2,900億円も支出しています。これらの経緯を見ると、コマツが投資にかなり積極的なことが見て取れますよね。

ではその主な投資の対象は何でしょうか。

それは米国の大手鉱山機械メーカー「ジョイ・グローバル社の買収」です。

以下は2018年3月期の有価証券報告書からの引用です。

この買収により、コマツがこれまで保有していなかった製品がラインナップに追加されることになりました。またジョイ・グローバル社の買収により、営業権(いわゆる「のれん」)や無形固定資産が前期に大幅に増加(営業権は約1,300億円増加)し、B/Sも大きく膨らみました。

セグメント情報

コマツのセグメントは大きく3つに分かれます。

建設機械・車両
リテールファイナンス
産業機械他

決算短信のセグメント情報を通して、もう少し詳しく見てみましょう。

次に各セグメントの利益率と資産回転率です。

利益率 回転率
建設機械・車両 14.8% 0.96倍
リテール
ファイナンス
30.5% 0.07倍
産業機械等 9.3% 0.97倍

リテールファイナンスの資産回転率が低いのは、販売金融事業のため特に「資産」が多いことが大きな要因と思われます。そして総資産回転率を下げているのは、このリテールファイナンスが大きな要因ということがわかりますよね。

KOMTRAX(コムトラックス)

コマツを語る上で欠かせないのが「KOMTRAX(コムトラックス)」という機械稼働管理システムです。

今や様々なモノがインターネットでアクセスができます。例えば携帯電話・スマホはもちろん、テレビ・エアコン・冷蔵庫・自動車など、自宅の中だけでもインターネットを介してアクセスできるモノがたくさんありますよね。

そしていろいろな情報を入手し、操作することができます。外出先からネットを通して、自宅内を監視できるカメラなどもそうですよね。これが「IoT(Internet of Things)」、いわゆる「モノのインターネット」と言われる仕組みです。

そしてコマツは建機にもその仕組みをいち早く取り入れたのです。(2001年からKOMTRAXを標準装備)

KOMTRAXが実現したのはGPSや通信機能を備えた建機から、遠隔で稼働データ(稼働中か休止中かなど)の収集や燃料残量を確認できること。つまり海外の建機がどこでどのような状態なのか、遠く離れた日本の本社など遠いところからでも確認できるというものです。

また今では稼働状況などから故障前の予防保全、盗難防止のための遠隔操作(エンジン停止)、さらに債権回収にも活かされ、支払いが滞ると遠隔で稼働を停止させることも可能であり、KOMTRAXの役割は多岐にわたります。

KOMTRAX月次稼働時間データも公開されています。

近年は「スマートコンストラクション」という仕組みも推進しています。ドローンによる測量など、動画がすばらしいので、ぜひ観てみてくださいね。

KOMTRAXの仕組みについては下記の書籍でも一例として取り上げられています。

余談ですが、以前、ITストラテジストの資格取得のためにIoTに関する書籍を何冊か読みました。その中でこちらの書籍はとても勉強になったので最後にオススメしておきますね。

まとめ

コマツは近年、投資に積極的であり、鉱山機械メーカーも買収してきました。投資に積極的かどうかはキャッシュ・フロー計算書に如実に現れます。

そしてコマツの成長にはKOMTRAXの存在が欠かせません。IoT、そのビジネスモデルは今や、私たちの身近なところでも大きく役立てられています。IoTを語る上で、コマツがその先駆者です。スマートコンストラクションなど今後の動向も私たちの新しいビジネスモデルのヒントになるかもしれませんね。

他の企業の分析も行っています。

ひろりん

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この記事を書いた人

関東在住のアラフォーの男性です。
趣味は読書・企業分析・デジタル勉強法の研究。

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